地方財政論ゼミ

教員名 武田公子
研究テーマ ドイツ自治体の財政問題
E-mail takekim@staff.kanazawa-u.ac.jp

ゼミの紹介

「地方の時代」という言葉が使われだしたのは1980年代のことでした。しかし当時の日本では、地方自治体に対する国のコントロールはまだまだ強く、「3割自治」と言われたように、自治体が自ら使い道を決めることのできる財源が十分にはありませんでした。2000年から実施された地方分権一括法は、国のコントロールを縮小し、自治体の権限を大きくしたという点では画期的なものでした。しかしその際に積み残された課題が国と地方の財源配分問題だったのです。

分権化が進行するなかで、中央政府と地方政府の間に、財源配分(税源配分と財源移転)や事務配分(権限の配分と費用負担配分)をめぐって対立が生じやすいというのは、各国に共通した動向となっています。日本でもいわゆる「三位一体」改革――国庫補助負担金の整理・地方への事務権限委譲と交付税交付金、地方税の一体的改革――が行われるなか、「地方六団体」と国が激しくやりあうという状況が生じていますね。ここに至ってはじめて、「地方の時代」という言葉が実質を伴うか否かの分れ道に立っているといえます。

ゼミ生には、こうしたまさに現在進行中の制度改革の動きに関心をもってもらいながら、まずは制度をきちんと理解することから始めてほしいと思います。その理解に立ってはじめて、問題の所在やそれが持つ意味がわかってくるでしょう。その上で、個々のゼミ生の関心にあわせた各論について、資料・文献を読み進めて議論を深めていきたいと思います。

なお、3年ゼミではひとつの自治体をとりあげて、そこでの地域課題や政策を検討し、現地調査も実施して報告書を作成することとしています。4年ゼミでは各自の関心に沿ってテーマを決め、卒論を執筆することを義務づけています。

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